

「仕事でミスをするのが怖くて、何度も確認しないと気が済まない」
「急な予定変更があると、パニックになって動悸がする」
「常に『何か忘れているんじゃないか』という漠然とした不安がある」
この苦しさは、ただ心配性なだけ? それとも「不安障害」という病気? もしかして、最近よく聞く「大人の発達障害」なの?
こんにちは、HSP(繊細さん)のなぎさです。
生きづらさの原因を探してネット検索をしていると、この「不安障害」と「発達障害(ADHD・ASD)」という言葉の迷路に迷い込んでしまう方がとても多いです。
実はこの2つ、切っても切り離せない深い関係にあります。 そして、「どちらが原因か」によって、心を楽にするためのアプローチが全く変わってくるのです。
今日は、混同されやすいこの2つの「違い」と、HSPさんも陥りやすい「二次障害」という落とし穴について、深く詳しく解説していきます。

まずは、不安障害と発達障害、それぞれの正体をイメージで掴みましょう。 「不安」を「火災報知器の音(非常ベル)」に例えると分かりやすいです。
実際には火事(トラブル)は起きていないのに、脳のセンサーが誤作動を起こして、ジリジリと非常ベルを鳴らし続けている状態です。 「安全な場所にいるのに、なぜか怖い」 「理由はないけど、将来が不安でたまらない」 というのが特徴です。
こちらは、実際に生活の中で「小さな火事(困りごと)」が頻発しているために、結果としてベル(不安)が鳴っている状態です。
ADHD: 忘れ物やミス(ボヤ)が多いから、「また怒られるかも」と不安になる。
ASD: 空気が読めず孤立(ボヤ)するから、「人が怖い」と不安になる。
つまり、「不安そのものが病気(不安障害)」なのか、「特性による失敗体験が不安を作っている(発達障害)」なのか、という違いがあります。
ADHD(注意欠如・多動症)の傾向がある人は、過去の失敗体験から「予期不安」を抱えやすいです。
「またミスをするんじゃないか」という恐怖 過去に「なんでこんな簡単なことができないの?」と怒られた経験がトラウマになり、確認行為がやめられなくなります(強迫性障害に近い状態になることも)。
じっとしていることへの不安 脳が多動なので、「何もしない時間」に耐えられず、常にソワソワして「何かやらなきゃ」と焦燥感に駆られます。
■見分けるヒント
「不安薬を飲むと落ち着く」なら不安障害の要素が強いですが、「環境を整えてミスが減ると、ケロッと元気になる」ならADHDの特性による不安かもしれません。
ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある人は、「見通しの立たないこと」への恐怖が非常に強いです。
「これからどうなるかわからない」恐怖 初めての場所、急なスケジュール変更、想定外のトラブル。これらに直面すると、脳がフリーズしてパニックになります。
「対人関係」の正解がわからない恐怖 暗黙のルールや空気が読めないため、集団の中にいるだけで「自分だけ浮いているんじゃないか」という強烈な緊張感(社交不安)を持ちます。
■見分けるヒント
「一人でいる時や、ルーティン通りに過ごしている時は心が穏やか」であれば、ASDの特性による対人・環境ストレスが原因かもしれません。
ここで悩むのが、「私はHSPなだけ? それとも発達障害?」という点です。 HSPも深く考えるため、不安になりやすい気質です。
大きな違いの一つに「共感性」があります。
HSPの不安: 「あの人が怒っているのは私のせいかも」「あの人を傷つけたかも」という、他人の感情に巻き込まれる不安が多い。
発達障害の不安: 「自分がどう振る舞えばいいかわからない」「自分がミスをするのが怖い」という、自分の行動や結果に対する不安が多い(傾向がある)。
もちろん、これらはきれいに分けられるものではなく、グラデーションのように重なっています。
一番知ってほしいのがこれです。 もともとは発達障害の特性(ADHDやASD)がベースにあるのに、それに気づかずに無理をして働き続けた結果、心が折れて「二次的に」不安障害やうつ病を発症しているケースです。
これを「二次障害」と呼びます。
この場合、病院で「不安障害ですね」と診断されて抗不安薬を飲んでも、なかなか良くなりません。 なぜなら、根本原因である「ミスが多い」「生きづらい」という発達特性(火事の元)が解決していないからです。
「薬を飲んでも不安が消えない」
「環境を変えても、また同じ理由で辛くなる」
そんな時は、一度「大人の発達障害」の視点から、自分を見つめ直してみる必要があるかもしれません。
不安障害であれ、発達障害の二次障害であれ、HSPの気質であれ。 今、あなたが苦しいという事実は変わりません。 そして、対処法の基本も実は同じです。
それは、「自分に合った環境を選ぶこと」です。
ADHD傾向で不安なら: ミスの許されない事務仕事よりも、アイデア出しや動きのある仕事を選ぶ。
ASD傾向で不安なら: 臨機応変な接客業よりも、マニュアルのある仕事や、静かな環境を選ぶ。
不安障害なら: まずは薬の力を借りて、脳の過敏さを鎮めてしっかり休む。
「私がダメだから直さなきゃ」と自分を責めて、苦手な環境で戦い続けることが一番の毒です。
「発達障害かもしれない」と認めるのは、怖いことかもしれません。 でも、もしそうだったとしても、あなたの価値が下がるわけではありません。
診断名は、レッテルではなく「自分の取扱説明書を作るためのヒント」です。
「あ、私はADHDタイプだから、ミスを恐れるよりもチェックリストを作ればいいんだ」 「ASDタイプだから、急な変更が苦手なのは当たり前。周りに伝えておこう」
そうやって「原因」がわかれば、ただ漠然と不安に怯える日々から抜け出し、具体的な対策を打てるようになります。
生きづらさの正体を知ることは、決して怖いことではありません。 それは、あなたがあなたらしく、楽に生きるための第一歩なのですから。